今日から、4年前に年末の北海道を一人で自転車ツーリングしたときの記録を連載します。
2010年(平成22年)12月20日(月)
22時43分、列車は北海道の東、網走近郊の女満別(めまんべつ)に到着した。降り際に車掌から、「自転車で走るのは大変だと思うけど、くれぐれも気をつけて」と送り出される。
見覚えのある駅舎。2年ぶりに戻ってきた。あのとき辛い思いをしたはずなのに、また『冬北』に来てしまった。それも、今度は年末に一人で。
理由はいくつかあるが、一番大きいのが、どうしても宗谷岬に行きたかったからだ。宗谷岬は私にとって、ただ最果ての地であるだけでなく、特別な思い入れのある地なのである。しかし前回の冬北では行程に入っていなかった。もう一つが、たった一人のクリスマスの夜を、酷寒の地で公衆トイレで野宿して過ごそうという、ヤケクソ気味の理由である。
充分すぎるほどの防寒装備のおかげで、体は大丈夫。ただ、真っ暗な駅前で一人で自転車を組立てながら、初めてのソロツーリングか……などと考えていると、早くもさみしくなってきた。
完全に凍結した路面の上を、おそるおそる走り出し、2年前にも立ち寄ったセイコーマートで翌日の朝食を買う。そして、これまた2年前に2晩も過ごした道の駅で一夜を明かした。