SLXのシフトレバーでドロッパーシートポストを操作する

 ウチのMTBには、トレールの下りでサドルの高さを下げられる、ドロッパーシートポストが装備されています。操作はワイヤーを通じて手元でするのですが、右手はリアの変速で忙しいので、サスペンションの調整と一緒に左手で行なうことになります。しかし、KS (Kind Shock) の純正レバーは、カーボン製で非常に軽量なものの、不意に指に当たらない位置決めやワイヤーの取り回しなどに、少々難がありました。

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 一方、ウチのMTBでは、フロントの変速を廃止してシングルで運用しています。なので、そもそも最優先で配置されるフロントシフトレバー及びその操作のためのスペースが空いている。そこで、フロントシフトレバーそのものを、ドロッパーシートポストのレバーとして使ってみることにしました。

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 どちらのレバーも、同じ規格のシフトワイヤーを引いているだけなので、交換自体は上手く行ったものの、いざ山で運用してみると、シフトレバーを押しすぎて、変速位置で固定してしまう事態が多発しました。元々そのためのレバーなので当然の事なのですが、ここは思い切って、シフトレバーから変速機能をカットしてみることにしました。シフトレバーの中身については、シマノの展開図にも載っていないので、独学でバラすことになります。

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 さすがにXTRのレバーを加工するのは気が引けるので、SLX (SL-M670-B-IL) です。I-specかどうかによって、加工難度に違いはありません。

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 I-specの銀のアルミのアダプターのボルトを、アーレンキーで緩めます。アダプター自体は完全には外れません。理由は後でわかることになります。

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 裏返して、見えている4つのプラスねじを、#1のドライバーで外し、ワイヤーアジャスターも外します。

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 六角ナットが、下のプレートで回転止めされているので、ラジオペンチで解除し、六角ナット及び緩み止めのプレートを外します。

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 レバーAが、どのようにカムを押すか、どのようにスプリングが固定されているか注意深く確認しながら、外します。

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 もう1つプラスねじと、ケースの枠を外します。

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 ケースから変速機構を外すことができます。ここで、最初にI-specのアダプターが完全に外れなかった理由がわかります。ケースの内側から、プラスねじで外れ止めされているんですね。

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 レバー全体を留めているシャフトを抜きます。レバーBは、ツーウェイリリースと言って、前に引いても後ろに引いても操作を伝えることができるのですが、その伝達機構を外します。

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 これで、カシメられたもの以外の全ての部品をバラすことができました。ここから不可逆的な加工が始まります。

 まず、変速機構のキーとなる、カムの爪を、グラインダーで綺麗に削り取ります。これで、シフトレバーはインナーでしか固定できなくなります。最短手順の場合、加工はこれだけでOKです。

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 しかし、レバーBが指に干渉することも多いので、これも外してしまいます。カシメられているので、グラインダーなどを使って削り切ります。

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 レバーBの動きをカムに伝える、時計の脱進機のような機構のスプリングを、ラジオペンチで解除します。

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 それでは組み立てです。カムをセットし、シャフトを通します。レバーBはもうありませんが、伝達機構は一番大きなスプリングの固定も兼ねているので必要になります。

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 ここからが一番難しいところです。レバーAとその付属物とスプリングを、同時にシャフトに通します。

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 スプリングはまだ完全に固定されていないのでラジオペンチで引き上げます。シフトレバー本来とは違って、かなり弱い位置で固定されてしまいました。フロント変速として使うには、もう一段階強い位置で固定する必要があるのですが、おそらく治具が必要になります。ドロッパーシートポスト用として使うには、かえってスプリングが弱い方が好都合なので、このまま閉じることにします。

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 緩み止めのプレートを入れて、六角ナットを締め、緩み止めの板の曲げを改めてラジオペンチでセットし、ケースに入れます。

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 蓋をしてプラスねじで固定し、ワイヤーアジャスターを取り付けて、完成です。ドロッパーシートポスト専用のレバーが完成しました。

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 上手く再組み立てできたので、ガタも無く、スムーズに動きます。取り付け、実走試験はまた後ほど。

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